はじめに
クリエイターの皆さんの中には、例えばアシスタントや学校の講師等としてお給料を貰いながら、自分でもお仕事をとってきて収入を得ている方もいらっしゃると思います。
そのような方が確定申告をする場合、確定申告の際には、「給与所得」と「事業所得」という二つの所得について申告することになりますが、そもそもこの二つの違いにはどういったことがあるのでしょうか?
兼務をされている方が確定申告をされる際に、二つの所得をきちんと分けて集計することができるように、給与所得と事業所得の違いを見ていきたいと思います。
所得の計算方法
「給与所得」も「事業所得」も「所得」であるので、どちらも「収入」から「経費」を差し引いて計算するという考え方は同じです。
しかし、実際の計算は大きく異なっています。
給与所得の計算方法
皆さんが勤め先からもらうお給料は、皆さんにとっては「収入」というイメージが強いかもしれませんが、実はこのお給料が皆さんの手元に入ってくる頃には、「収入」から「経費」が差し引かれています。
雇用主からお給料をもらう人でも、その仕事をするために勉強する書籍、通勤用のスーツや靴を買ったりなど、色々とお金をかけていると思います。個人事業主であれば、こうした経費は領収書を取っておいて、実際にかかった金額を確定申告で経費として積み上げていきますが、お給料をもらう人はこれをする必要がありません。
というのも、お給料をもらう場合、もらう収入によって経費として差し引ける金額が自動的に決定されるからです。この自動的に経費を差し引くことを「給与所得控除」と呼んでいます。
具体的には、以下の表にしたがって「給与所得控除」の金額が計算されます。
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 |
---|---|
1,625,000円まで | 550,000円 |
1,625,001円から1,800,000円まで | 収入金額×40%-100,000円 |
1,800,001円から3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,001円から6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,001円から8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上1,950,000円(上限) |
上表を見ればわかりますが、収入が増えれば、経費(=給与所得控除額)も増えていきます。
このように、お給料をもらう人は、通常、勤務先で「経費」を計算してくれます。自分で経費を集計しているわけではないので、経費が差し引かれているというイメージはあまりないかと思いますが、お給料からもちゃんと「経費」が差し引かれて「所得(=もうけ)」が皆さんの手元に入ってくる仕組みになっているのです。
事業所得の計算方法
「事業所得」も計算の考え方自体は「給与所得」と同じです。
事業所得=事業収入(売上)ー経費
一方で、「事業所得」は「給与所得」とは違って、自動で経費を計算してくれるなんてことはありません。
自分で行なう事業に関しては、自分できちんと収入と経費を把握して、決算書を作ることによって、「所得」を計算しなければなりません。決算書をつくるためには、帳簿を作成して行く必要があるのですが、具体的にどのように帳簿を作成していくかについては、また別の機会にご説明します。
また、「給与所得」と「事業所得」の両方がある場合、確定申告では、この二つの所得を合算してから税金を計算することになります。所得自体は別々に計算するものの、税金を計算する前にはこの別々の所得を足し合わせるのです。
まとめ
- 「給与所得」と「事業所得」は同じ「所得」であるが計算方法が異なる
- 「給与所得」は収入に応じて経費が決定される(給与所得控除)
- 「事業所得」は経費を自ら集計、計算する必要がある
- 確定申告においては「給与所得」と「事業所得」を合算して税金の金額を計算する
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