個人事業主でも償却資産税を払う必要がある?

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はじめに

個人事業主が払う税金と聞いてぱっと思い浮かぶのは、所得税、消費税、事業税あたりでしょうか?

実はこの他にも、個人事業主が払わなければならないかもしれない税金があるのですが、見落とされがちなもののうちの一つに「償却資産税」というものがあります。

もしかすると、ちょうど今ぐらいの時期に税務署から償却資産税の申告書が届いて「なんだこれは・・・」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんので、今回は、皆さんに関係があるかもしれない償却資産税についてご紹介したいと思います。

償却資産税とは

償却資産税とは、その名の通り「償却資産」にかかる固定資産税の一種です。償却資産税という項目があるわけではなく、固定資産税のなかで償却資産にかかるものを便宜的に償却資産税と呼んでいます。

ところでそもそも「償却資産」ってなんでしょう・・・?

ざっくり言えば、償却資産とは「土地」、「家屋」以外の事業に使用する資産を指します。具体的には、パソコン、コピー機、といった一般的に使用される資産や、製造業、建設業などで使用する機械や装置なども償却資産に該当します。

償却資産に該当するからと言って、すべてが償却資産税の対象になるわけではなく、無形固定資産(ソフトウェアなど)、自動車、繰延資産、一括償却資産(取得価額20万円未満、かつ3年間で一括償却している資産)は対象外となっています。

償却資産税の計算方法

償却資産税は、「資産の評価額×税率(1.4%)」で計算されます。資産の評価額は、減価償却をした残存価額(取得価額に「減価残存率」というものを乗じた額で評価されます)。

具体的な計算方法(イメージ)は下の表のとおりです。なお、1,000万円のものを2021年に購入した場合、償却資産税を申告し、税金が課されるのは2022年です。

取得価額減価残存率評価額償却資産税
1年目(2021年)1,000万円0.9900万円
2年目(2022年)1,000万円0.8800万円12.6万円(=900万円×1.4%)
3年目(2023年)1,000万円0.7700万円11.2万円(=800万円×1.4%)
償却資産税の計算イメージ

償却資産は免除される?

ここまでお読みいただいて「あれ、パソコンなどの償却資産を持っているけど、償却資産なんて払ったことないな・・・もしかして、申告も納税も忘れているかも・・・」などと心配になった方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、安心してください。実は、償却資産は少額であれば償却資産税がかかりません。

具体的には、償却資産の評価額の合計が150万円未満なら償却資産税はかかりませんが、合計が100万円以上、もしくは一つの償却資産の金額が10万円以上の場合は申告が必要です。

償却資産税がかかる条件償却資産の評価額の合計金額が150万円以上
償却資産の申告が必要な条件償却資産の評価額の合計が100万円以上、
もしくは一つの償却資産の評価額が10万円以上
償却資産税の課税・申告要件

上記の要件に当てはまらなければ、申告をする必要もありませんし、もちろん税金を納める必要はありません。一方で、償却資産税はかからないが、申告が必要な条件に当てはまる場合は、申告だけはする必要がありますので、ご注意ください(申告をしていない方が多くいらっしゃると思われます)。

償却資産の申告期限と納付期限

償却資産の申告期限、申告先、提出書類などは以下の通りです。

対象者1月1日時点で償却資産を持っている人
申告期限1月31日
申告先償却資産のある市区町村
提出書類償却資産申告書
納付のタイミング年4回
東京23区以外は4月、7月、12月、2月
東京23区は6月、7月、12月、2月

償却資産税の納税義務があるにも関わらず申告しなかった場合、過去に遡って徴収されることになります。

納付のタイミングは年4回ありますが、この4回は自分で申告するような手間はかかりません。納付書が送られてくるので、その納付書で納付すれば済みます。

償却資産税申告をする場合の留意点

償却資産税の申告をする必要がある場合、まず1月1日時点の資産内容を正確に把握することが重要です。

1月1日時点で保有していない資産に関しては申告する義務がないので、たとえば前年末に売却した資産や、1月2日以降に取得した資産を誤って申告しないようにしましょう。

また償却資産ではあるけれど、償却資産税の対象外となる資産について誤って申告しないことも重要です。特に「一括償却資産」については、うっかり償却資産対象としてしまって、そのせいで税金が増えてしまうケースがあります。

このように、その年の償却資産税の対象となる資産を正確に把握し、申告する必要がない資産まで含めないように気を付けましょう。

個人事業主の皆さんは、合計で150万円以上の償却資産を保有することは少ないかもしれませんが、少なくとも申告だけは必要なケースは少なくないかと思います。

また、業種によって内装工事や機械装置など多額の設備投資を行っているような場合は、償却資産税の申告・納税が必要になるケースもありますが、ご自身で確定申告など対応されている方はうっかり償却資産税の申告・納税をし忘れている(そもそも認識していない)ことが多いかもしれません。

このように、償却資産税については所得税や消費税と比べてあまり認知されておらず、また計算や申告も若干ややこしいので、不安な方は税理士に相談されることをおすすめします。

まとめ

  • 個人事業主でも「償却資産税」の申告・納付をする必要がある場合がある
  • 「償却資産税」とは「固定資産税」の一種で、保有する償却資産に課せられる税金である
  • 償却資産とは土地、家屋以外の固定資産を指す
  • 償却資産のうち、ソフトウェア、自動車、繰延資産、一括償却資産など償却資産税の対象外となるものもある
  • 償却資産税は、「資産の評価額×税率(1.4%)」で計算される
  • 償却資産の評価額の合計が150万円未満の場合は税金が課されない
  • 償却資産税の申告期限は1月31日

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