はじめに
そろそろ朝晩もめっきり冷えてきて、本格的な冬の到来を感じる今日この頃ですが、個人事業主の方にとってはそろそろ1年間の事業の結果がどれくらいになりそうかが明らかになってくる時期かと思います。
事業所得がどれくらいかを計算してみたら、予想以上の所得となりそうで、このままだと税金をたくさん払うことになりそうな方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、もうすぐ年末を迎えるようなタイミングで、残された時間もそんなに多くない中、時間や手間をかけずに簡単にできる税金対策をご紹介します。
経費が増やせないか考えてみましょう
簡単にいうと、税金は所得に税率を掛けて計算されるので、所得が小さければ税金も少なくなります。所得は、売上から経費を引いたものなので、売上を減らすか、経費を増やすかすれば所得は小さくなります。
このうち、売上を減らす方法、例えば今年売上が立つ予定だった仕事について、取引先と交渉して来年にしてもらうなども考えられますが、相手との関係性もありますし、交渉・調整の手間や時間がかかるかもしれず、多くの場合はハードルが高いと思います。
そこで、まずは「経費を増やす」という方法を検討してみたいと思います。経費を増やすかどうかは、個人事業主の皆さんが勝手に決められるので、売上を減らすよりもずっと簡単にできるはずです。
少額減価償却資産の特例を使いましょう
前回の記事で、「青色申告であれば、30万円未満のものについてはその年の経費に入れることができる「特例(少額減価償却資産の特例)」を使うことができる(ただし、年間合計300万円まで)」ということをご紹介しました。
この特例を利用して、例えばパソコンやタブレット、カメラなどといった事業に必要な機材で、そろそろ買い替えようかなと思っているものがあれば、年内にまとめて買ってしまいましょう。
もちろん、「特例」は30万円未満のものが経費として認められる対象なので、オプションなどをつけてうっかり単位当たりで30万円以上となってしまった場合は、「固定資産」となってしまいほとんど経費にできないため、購入する際には注意してください。
また、年間を通じて300万円までという上限も設定されているので、今年に入ってからこれまでに購入した機材の値段も考慮しながら、購入するものを検討しましょう。
年末ぎりぎりの場合は要注意
人間というもの、年末になると祝祭気分が盛り上がり、ただでさえ財布の紐が緩みがちになりますが、税金対策にもなると思うとますます年末に色々なものを購入してしまいそうです。
ここで注意が必要なのは、年末ぎりぎりにAmazonなどのネットで購入したとしても、手元に届くのが年明けになってしまった場合です。
購入した費用を今年の経費にするためには、今年中に手元に届き、かつ事業のために使用開始しなければならないので、上記のような場合は残念ながら今年の経費とすることはできないのです。
ですので、ネットで購入する場合は、納品日が年内となるようなものを注文し、年内に納品されたことを証明するために納品書などをきちんと保管しておいてください。
無駄なものまで買わないように
このように、 少額減価償却資産の特例を利用して、いずれ購入しようと考えていたものを前倒しで購入すれば、年末ぎりぎりのタイミングでも相当程度経費を増やすことができ、結果として税金も圧縮することができます。
しかし、当たり前ですが、ものを買うということはそれだけキャッシュアウト(出ていくお金)も増えるということです。
事業を行っていくためにいずれ必ず購入するであろうものを前倒しで買うのであれば、タイミングだけの問題なので、必要なものが手に入り、かつ税金も少なくなる、といういいことづくめなのですが、「せっかくだから必要がないかもしれないけど買ってしまう」と無駄なものまで買ってしまったら、税金は少なくなるかもしれませんが、結局その不必要になってしまうものに払ったお金は無駄になります。
買ったものを経費にするということは、その買った金額のうち税率分が安くなる、つまり、税率分引きで購入することができるということです。私自身も、普段、Amazonなどでタイムセールなどをやっていると、つい必要のないものも買ってしまい、結局後になってゴミとなり後悔するという経験をしていますが、結局いくら安くなっても無駄なものを買うと最終的には損をしてしまいます。
必要なものを買って税金を少なくする分にはよいのですが、税金を少なくすることばかりにとらわれて、無駄なものを買ってしまい、本当に事業に必要なものに回すお金が少なくなってしまったら本末転倒ですので、あまり節税にこだわりすぎず事業ファーストの考えを見失わないようにしていただければと思います。
まとめ
- 年末まで残り少ない期間でも経費を増やすことで税金対策ができるケースがある
- 青色申告であれば、使うことができる「少額減価償却資産の特例」を利用し、いずれ必要になるものを前倒しで年内に購入しておくことで経費を増やすことができる
- ただし、単位当たり30万円未満、年間を通じて300万円までという上限があるので注意が必要
- 納品が年内かつ事業での使用開始が年内であることが経費にできる要件となるので、年末ぎりぎりに購入する場合などは、納品日に注意する
- 無駄なものまで買ってしまうと結局は事業に必要な資金が減るので、経費になるからといって何でもかんでも購入しないようにする
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